十輪寺の概要
嘉祥3年(850年)に文徳天皇が、最澄作の延命地蔵を安置して祀ったことに由来を持つとされる寺院。
その後、平安時代の歌人で六歌仙のひとりである在原業平が晩年に隠棲したといわれています。
そのため「なりひら寺」とも呼ばれて親しまれています。
境内の裏には業平が難波の海水を運んで塩焼きの風情を楽しんだとされる塩釜跡が残されていて、周辺の地名「小塩」の由来になったといわれています。
室町時代には応仁の乱によって荒廃しましたが、江戸時代に藤原氏の公家・花山院家の菩提寺となって再建されました。
現在の伽藍はこの時期の再建によるものです。
境内には江戸時代に作庭された「三方普感の庭」があり、小さいながら工夫の凝らされた庭として知られています。
また、桜や紅葉の名所として知られていて、春には庭の「なりひら桜」が美しく咲き誇ります。
秋には、樹齢800年といわれる「なりひら楓」をはじめとした紅葉も見事です。
十輪寺で楽しめる花
★は名所・特におすすめ
【春】★桜
【夏】 -
【秋】★紅葉
【冬】 -
十輪寺の見どころ
本堂
寛延2年(1750年)に花山院常雅によって再建された建物で現在は京都府指定有形文化財。鳳輦型という神輿を模した珍しい形状の屋根が特徴で、ほかにも狛犬のような彫刻があるなど神仏習合の名残といえます。
本尊として最澄作と伝わる延命地蔵を安置しています。秘仏ですが毎年8月23日に御開帳されます。
三方普感の庭(さんぽうふかんのにわ)
寛延3年(1750年)に右大臣の花山院常雅が本堂を再建した際に作庭したもの。
当時の公家はあまり財力がなく豪華な庭園を造ることはできなかったため、小さな庭園であっても様々な見方ができるように工夫が凝らされています。
三方とは、高廊下(南側)、茶室(北側)、業平御殿(東側)廊下のこと。
それぞれの場所から、立って・座って・寝て眺めることで見る人に様々な印象を与えます。
庭園には樹齢200年ほどのしだれ桜「なりひら桜」が植えられていて、4月初頭には空を覆うほど見事な花を咲かせます。
鐘楼
寛文6年(1666年)の再建で現在は京都府指定有形文化財。
不迷梵鐘(迷わずの鐘)と呼ばれる鐘がかけられていて、撞くと迷いが晴れて決心がつくといわれています。
十輪寺の基本データ
◆住所:京都府京都市西京区大原野小塩町481
◆電話:075-331-0154
◆拝観時間:9:00~17:00
◆拝観料:400円
◆休日:行事の際は休日あり
◆ライトアップ:あり
◆アクセス:JR京都線「向日町」駅から阪急バスで「小塩」下車 徒歩2分
◆駐車場 あり
◆公式サイト:なし